ノエ・レオン コロンビアの画家
Noe Leon という画家をご存じだろうか?
うららかな平日にTwitterで流れてきた画像
普段であればスワイプの藻屑に消え行くのが常だが、何か妙に引っかかる
ジャガー?ジャングル?宣教師が喰われる?
野性と文明の衝突的なモチーフが読み取れそうだが
それにしては宣教師の諦観みたいなものは何なのか
帰ったら調べる pic.twitter.com/O9UDe6PyKH
— プラグマモ (@pragmamo) March 16, 2022
スマホでは検索に限界があったので、僕は帰って調べるという事をツイートしておいた
こうしておけば「あいつ調べてねえのかよ」と思われる事に対する自責の念から
そうせざるを得ないだろうから
逆に言えば、こうしなければこのページも作らないだろうから
以下、ネットに転がる数少ないノエ・レオンについての情報をまとめておく
このページに辿り着いてしまった君のために
プロフィール
1907年、コロンビアのオカーニャに生まれる
内装工、ドライバー、警察官として働き、やがて芸術家となる
美術学校には通わず、独学で絵を描き、よく通りを歩いては作品を一軒一軒売り歩いたという
1978年、妻のロジータと8匹の犬、数匹の猫、たくさんのオウムに囲まれ、
ほとんど盲目の状態でこの世を去った。
https://www.ekare.com/english/ilustrador/noe-leon/
1907年、コロンビアのオカーニャで生まれた。父親のような靴職人にはなりたくなかったので、ガリテーロ、筆耕師、運転手、警察官などを経験したが、生活のために絵を描くことができることに気づいたのである。コロンビアの大統領の肖像画、川の風景画、狩猟風景などを一軒一軒売り歩くようになったのです。やがて、ナイーブ・スタイルの先駆者であるフランスの画家アンリ・ルソーを知り、彼の作品に大きな影響を与えることになる。1978年、バランキージャで、妻のロジータ・カスティージョと、彼が愛したペットたち(8匹の飼い犬と時折迷子になる犬、数匹の猫、たくさんのオウム)に囲まれ、ほとんど視力を失った状態で亡くなりました。
https://www.arteinformado.com/guia/f/noe-leon-213218
Misionero Comido Por Tigre 虎に喰われる宣教師
ツイッターで流れきた絵の題名は上の通り
ジャガーではなく虎と書かれている
コロンビアのMuseum of Modern Art La Tertuliaに所蔵されており
1967年製作
コロンビアはスペインの植民地であった歴史から人口の95%がキリスト教、うち90%がカトリック
1959年のキューバ革命と合わせコロンビアの近代化でキリスト教の求心力低下と共に治安は悪化
1958年の自由保守両党が4年ごとに政権を交代する「国民戦線」体制を確立も、国内情勢は混乱の一途を辿り、ゲリラ活動が活発化
この絵が描かれる1年前の1966年には反政府ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」が発足している
そのような混乱の情勢がこの絵から何となく読み取れるような気もする
ちなみに、スペイン植民地ではジャガーも虎と言う事が多いらしい
もう少し詳しく
1960年代初頭、バランキージャのバー「ラ・クエバ」を中心に形成された芸術と知識のサークルのメンバーが、アセテート・ディスクに描いた絵を売って街を徘徊する画家に出会い、絵を続けるよう宣伝し、励ましたのです。やがて、このストリートペインターの絵は、コロンビア、アメリカ、ヨーロッパの美術館やギャラリーに展示されることになる。
https://populardelujo.wordpress.com/2011/09/03/el-mejor-policia-del-mundo/
バランキージャのバー「ラ・クエバ」は現在も営業中であり
トリップアドバイザーのレビューを見ると、1954年の開店当初から著名な画家や作家が頻繁に訪れていたらしく、店内には数多くの絵画やガルシア・マルケスの写真が飾られている
引用によるとネオ・レオンが50歳の頃にはレコード盤に絵を描いて売り歩いている頃に、このバーに出入りしているアーティスト達の目に止まって評価が始まったらしい
サンタ・マリア兄弟や多くの人気画家のように、ノエもまた、オカーニャ(サンタンデール州)に生まれ、バランキージャ(アトランティック州)に住むことになった根無し草であった。ホルヘ・モンテスデオカやゲルベル・ネイと同じように、彼は路上で売る絵画を生活の糧としていたのだ。オスカー・バレトのように、ノエが絵画芸術について知っていることは、どの学校でも学ばなかったことであり、彼の表現力は、まさにどんな規範も無視することから生まれている。アルヌルフォ・エラーダのように、ドキュメンタリーと理想が共存し、わずかな油断で自然の法則がまかり通るような、絶妙な田園風景を描いている。ノエもまた、多くのアカデミズムや俗物化、技術化に退屈している人々を驚かせたのです
https://populardelujo.wordpress.com/2011/09/03/el-mejor-policia-del-mundo/
ノエ・レオンの作品の一部はバンコ・デ・ラ・ブリカ美術館のプリミティブアートの部屋に展示されているのみで、大半は個人のコレクションに収まっている
出版物
ノエ・レオンの作品と生涯を知るにはSeguros Bolívarという出版社から1999年に画集が出ていたらしいが
現在は絶版、出版社であったはずのドメインは保険会社に置き換わっている
一応ISBNと書影は見つかった
- ISBN 10: 9589260535
- ISBN 13: 9789589260531
日本国内で入手できそうなのは以下の本だけになる
ノエ・レオンの絵を元にしたさがし絵の絵本とのこと
最後に
ネットで拾える情報はこれくらいである
後は上述の画集からスキャンされた作品が数点見つかるのみ
本国で絶版になったものが簡単に入手できるとは到底考えられないが、出来る事なら年表などを詳しく見てみたいと思う